建物賃貸借契約の当事者が死亡した場合の相続に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。 1 借主が死亡し、相続人のあることが明らかでない場合、賃貸借契約は終了しない。 2 貸主が死亡し、相続人のあることが明らかでない場合、賃貸借契約は終了する。 3 借主が死亡し、複数の相続人がいる場合、貸主が賃貸借契約の債務不履行を理由に解除するためには、相続人の一人に解除の意思表示をすればよい。 4 借主が内縁関係にある者と30 年にわたり賃貸住宅に同居していた場合、当該賃貸住宅の賃借権の相続に限り、内縁関係にある者も相続人となる。 |
1:○(適切である) 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とされ、相続財産管理人が選任されて定められた業務を行います。また、相続人なしに借主が死亡した場合で、借主と事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、借主の地位を承継します。そのため、借主が死亡し、相続人のあることが明らかでない場合、賃貸借契約は終了しません。 ※ テキスト+問題集P214「(2)相続人のあることが明らかでない場合」及び「(3)同居者による借主の地位の承継」参照。 |
2:×(不適切である) 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とされ、相続財産管理人が選任されて定められた業務を行います。そのため、貸主が死亡し、相続人のあることが明らかでない場合、賃貸借契約は終了しません。 本肢は、「賃貸借契約は終了する」としている点が誤りです。 ※ テキスト+問題集P214「(2)相続人のあることが明らかでない場合」参照。 |
3:×(不適切である) 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員からまたはその全員に対してのみ、することができるとされています。そのため、借主が死亡し、複数の相続人がいる場合、貸主が解除するためには、相続人全員に解除の意思表示をしなければなりません。 本肢は、「相続人の一人に解除の意思表示をすればよい」としている点が誤りです。 ※ テキスト+問題集P213の下から2行目~P214の2行目までを参照。 |
4:×(不適切である) 借主が死亡し、相続人がいない場合、「事実上夫婦の関係にある者」がその借主と同居していたときは、その同居者が借主の地位を承継することができます。しかし、内縁関係にある者は、借主の地位を承継する場合でも、相続人となりません。 本肢は、「内縁関係にある者も相続人となる」としている点が誤りです。 ※ テキスト+問題集P214「(3)同居者による借主の地位の承継」参照。 ※ なお、試験問題では「事実上夫婦の関係にある者」のことを、「内縁の配偶者」「内縁関係にある者」などと表現することもあります。 |