未収賃料の回収、明渡しに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。 1 管理受託方式の管理業者が、貸主に代わって管理業者の名前で借主に賃料の請求をする行為は、弁護士法第72 条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)に抵触する可能性がある。 2 サブリース方式による管理業者が、滞納者である借主の住所地を管轄する簡易裁判所に支払督促の申立てをし、これに対し借主が異議の申立てをしなかった場合、当該支払督促が確定判決と同一の効力を有する。 3 少額訴訟と支払督促は、いずれも簡易裁判所による法的手続であるが、相手方から異議が出された場合、少額訴訟は同じ裁判所で通常訴訟として審理が開始され、支払督促は請求額によっては地方裁判所で審理される。 4 公正証書による強制執行は、金銭の請求については執行可能であるが、建物明渡しについては執行ができない。 |
1:○(適切である) 本肢の通りです。 ※ テキスト+問題集P268「②弁護士法との関係」参照。 |
2:×(不適切である) 支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して行います。 本肢は、「簡易裁判所に支払督促の申立て」となっている部分が誤りです。 なお、確定判決と同一の効力を得るためには、「支払督促の申立て」のほかに、債権者は、さらに「仮執行宣言の申立て」をする必要があります。「仮執行宣言を付した支払督促」に対して、債務者が異議の申立てがない場合にはじめて、確定判決と同一の効力を得ることができます。 よって、本肢は、支払督促の申立てをしただけで、仮執行宣言の申立ての手続きを経ていないにもかかわらず、確定判決と同一の効力を有するとしている点でも、誤りといえます。 ※ テキスト+問題集P272「(1)支払督促の申立て」、P273「③支払督促の効力」参照。 |
3:○(適切である) 少額訴訟と支払督促は、いずれも簡易裁判所おいて行われる法的手続きです。 相手方から異議が出された場合、少額訴訟は同じ簡易裁判所で通常訴訟として審理が開始され、支払督促は請求額によっては地方裁判所で審理されます。 ※ テキスト+問題集P275の表下の※印、及び、P273「(7)督促異議の申立てによる訴訟への移行」関連。 |
4:○(適切である) 強制執行認諾文言付きの公正証書によれば強制執行は、金銭の請求については執行可能です。 一方、建物明渡しについて、公正証書に基づいて執行することはできません。 ※ テキスト+問題集P271「(3)強制執行認諾文言」参照。 |