賃貸人Aは賃借人Bに対して、賃料(共益費込み)月額金10万円、当月分前月末日払い、遅延した場合は年10%の遅延損害金を請求できる旨の約定でアパートの一室を賃貸した。Bは、令和2年10月分、同年11月分及び同年12月分の賃料を滞納したが、同年12 月15 日、Aに金20 万円を持参した。この場合、賃料の充当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 弁済の充当に関する民法の定めは強行規定であるため、AB間でこれと異なる合意をしても無効である。 2 Aは、Bが充当を指定しない場合、金20 万円を受領時に、いずれの債務に充当するかを指定することができる。 3 Bは、Aに対して、令和2年10 月分の賃料及び同月分の遅延損害金に金20万円を優先的に充当するよう指定することができない。 4 Bが持参した現金は、遅延損害金、元本及び費用の順で充当される。 |
1:×(誤っている) 弁済の充当に関する民法の定めは、強行規定ではなく、任意規定である。そのため、これと異なる合意は有効です(合意充当)。 ※ テキスト+問題集P251「(5)弁済の充当」参照。 |
2:○(正しい) 弁済をする者(借主)が弁済の充当の指定をしないときは、弁済を受領する者(貸主)は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。 本肢では、弁済の受領者A(貸主)は、弁済者B(借主)が充当を指定しない場合、いずれの債務に充当するかを指定することができます。 ※ テキスト+問題集P251「▼指定充当の優先順位」のA参照。 |
3:×(誤っている) 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合に、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者(借主)は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。 本肢では、弁済者B(借主)は、令和2年10 月分の賃料及び同月分の遅延損害金に金20万円を優先的に充当するよう指定することができます。 ※ テキスト+問題集P251「▼指定充当の優先順位」の@参照。 |
4:×(誤っている) 弁済をする者(借主)がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、費用、利息及び元本の順に充当しなければなりません(法定充当)。 ※ テキスト+問題集P251「(5)弁済の充当」参照。 |