貸主が、借主の賃料不払を理由として建物賃貸借契約を解除する場合に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実及び特約はないものとする。 ア 賃料の支払を1か月でも滞納すれば貸主が催告を経ずに賃貸借契約を解除できるという特約を定めた場合、11 月分までの賃料に滞納はなかったが、11月末日が支払期限である12 月分の賃料が支払われなかったときは、12 月1日に貸主が行った解除通知は有効である。 イ 借主に対して解除を通知した上で建物明渡請求訴訟を提起した貸主は、賃料の不払につき借主に故意過失があったことについては立証する必要はない。 ウ 賃料不払のため契約を解除すると口頭で伝えられた借主が、通知を書面で受け取っていないので解除は無効であると反論したが、このような反論は解除の効力に関係がない。 エ 賃料が3か月間滞納されていることを理由に契約を解除するとの通知書を受け取った借主が、それまで一度も滞納賃料の催告を受けたことがないので解除は無効であると反論したが、このような反論は解除の効力に関係がない。 1 ア、エ 2 イ、ウ 3 ウ、エ 4 ア、イ |
ア:×(誤っている) 「賃料の支払を1か月でも滞納すれば貸主が催告を経ずに賃貸借契約を解除できる」という特約を定めた場合であっても、借主が1ヵ月滞納しただけでは、賃貸人は、この規定を根拠に賃貸借契約を無催告で解除することはできません。 本肢では、これまで賃料滞納がなかった場合において、支払期限の翌日に解除通知を行ったというのであるから、当該解除通知は無効です。 ※ テキスト+問題集P202「(3)無催告解除特約の有効性」参照。 |
イ:○(正しい) 債務不履行を理由に契約を解除する場合、債務者に故意過失があることは解除の要件ではありません。 そのため、賃貸人は、賃借人に故意過失があったことについて立証する必要はありません。 ※ テキスト+問題集P200「(1)債務不履行に基づく解除」参照。 |
ウ:○(正しい) 解除は、相手方に対する意思表示によって行います。解除の意思表示は、書面で行うことは求められておらず、口頭で行うこともできます。 よって、解除の通知を書面で受け取っていないので解除は無効である旨の反論は、解除の効力に関係がありません。 ※ テキスト+問題集P201「(1)解除権の行使方法」参照。 |
エ:×(誤っている) 相手方がその債務を履行しない場合、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、契約の解除をすることができます。 滞納賃料の催告を受けたことがないので解除は無効である旨の反論は解除の効力に関係があります。 ※ テキスト+問題集P200「(1)債務不履行に基づく解除」参照。 |