敷金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1 貸主は、建物明渡し後でなければ、敷金を未払賃料に充当することができない。 2 敷金は、賃貸借契約上の債務を担保するための金銭であるから、貸主との合意があっても賃貸借契約の締結後に預け入れることができない。 3 貸主が建物を借主に引き渡した後、第三者に当該建物を売却し、所有権移転登記を完了した場合、特段の事情がない限り、敷金に関する権利義務は当然に当該第三者に承継される。 4 賃貸借契約が終了し、建物が明け渡された後、借主が行方不明となったことにより、借主に対し敷金の充当の通知ができない場合、貸主は敷金を未払賃料や原状回復費用に充当することができない。 |
1:×(不適切) 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができます。この敷金の充当は建物明渡し前であっても行うことができます。 ※ テキスト+問題集P259の1行目・2行目を参照。 |
2:×(不適切) 敷金を交付する合意は、賃貸借契約とは別個独立の契約であるため、賃貸借契約の締結後に敷金を預け入れることもできます。 ※ テキスト+問題集P258「(1)敷金の概要」を参照。 |
3:○(適切) 貸主が建物を借主に引き渡した後、第三者に当該建物を売却し、所有権移転登記を完了した場合、特段の事情がない限り、貸主の地位が当該第三者に承継され、敷金に関する権利義務も当然に当該第三者に承継されます。 ※ テキスト+問題集P208「(1)借主が先に建物の引渡しを受けた場合」、P259「(1)契約当事者の変更と敷金との関係」参照。 |
4:×(不適切) 賃貸借が終了し、建物が明け渡された場合において、賃料の延滞があるときは、当然敷金から充当され、敷金充当の意思表示は不要です。したがって、敷金充当の意思表示(通知)ができない場合であっても、敷金は当然に充当されます。 ※ テキスト+問題集P259の中段「なお、」以下を参照。 |