建物賃貸借契約における必要費償還請求権、有益費償還請求権及び造作買取請求権に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。 ア 賃貸物件に係る必要費償還請求権を排除する旨の特約は有効である。 イ 借主が賃貸物件の雨漏りを修繕する費用を負担し、貸主に請求したにもかかわらず、貸主が支払わない場合、借主は賃貸借契約終了後も貸主が支払をするまで建物の明渡しを拒むことができ、明渡しまでの賃料相当損害金を負担する必要もない。 ウ 借主が賃貸物件の汲取式トイレを水洗化し、その後賃貸借契約が終了した場合、借主は有益費償還請求権として、水洗化に要した費用と水洗化による賃貸物件の価値増加額のいずれか一方を選択して、貸主に請求することができる。 エ 借主が賃貸物件に空調設備を設置し、賃貸借契約終了時に造作買取請求権を行使した場合、貸主が造作の代金を支払わないときであっても、借主は賃貸物件の明渡しを拒むことができない。 1 ア、イ 2 イ、ウ 3 ウ、エ 4 ア、エ |
ア:○(適切) 必要費償還請求権を排除する旨の特約は有効です。 ※ テキスト+問題集P187「(1)必要費」参照。 |
イ:×(不適切) 借主は、費用償還請求権(必要費償還請求権・有益費償還請求権)を被担保債権として留置権を行使し、または同時履行の抗弁権を行使することによって、賃貸借契約終了後も、貸主が費用を支払うまで賃貸物件の明渡しを拒絶することができます。 もっとも、借主は、明渡しを拒絶して契約終了後も賃貸物件を使用し続けている場合には、貸主に対して賃料相当額を支払う必要があります。 ※ テキスト+問題集P188「(3)貸主が費用償還義務に違反した場合」参照。 |
ウ:×(不適切) 借主は、賃貸物件について有益費を支出したときは、貸主に対し、賃貸借契約終了の時に、その価格の増加が現存する場合に限り、「貸主」の選択に従い、その支出金額または増価額の償還を請求することができます(有益費償還請求権)。 本肢は、「借主は〜いずれか一方を選択して」となっている部分が誤りです。 ※ テキスト+問題集P187「(2)有益費」参照。 |
エ:○(適切) 借主は、造作買取請求権を被担保債権として留置権を行使したり、同時履行の抗弁権を行使したりすることはできません。したがって、貸主が造作の代金を支払わないときであっても、借主は賃貸物件の明渡しを拒むことができません。 ※ テキスト+問題集P188「(2)造作買取請求権と留置権等との関係」参照。 |