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賃貸不動産経営管理士試験の傾向と対策、過去問解説 

令和3年度賃貸不動産経営管理士試験問題

問27


 Aを貸主、Bを借主とする建物賃貸借においてCを連帯保証人とする保証契約に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実はないものとする。

ア Bが賃料の支払を怠ったので、AがCに対して保証債務履行請求権を行使した場合、Cは、Bには弁済する資力があり、かつその執行が容易である旨を証明すれば、AがBの財産について執行を行わない間は保証債務の履行を免れる。

イ Aの賃料債権を被担保債権とする抵当権がD所有の甲不動産に設定されていた場合、Dの負う責任は甲不動産の範囲に限られるところ、Cの負う責任はCの全財産に及ぶ。

ウ Cが自然人ではなく法人の場合は、極度額を書面で定めなくてもよい。

エ Bの賃借人の地位がAの承諾の下、第三者に移転した場合、Cが引き続き連帯保証債務を負担することを「保証の随伴性」という。

1 ア、イ
2 イ、ウ
3 ウ、エ
4 ア、エ

問27解説


「保証契約」に関する問題です。
テキスト+問題集のP262〜264参照)


ア:×(誤り)
 連帯保証でなければ、保証人は、主たる債務者(借主)に資力があり、執行も容易であることを証明すれば、「まずは債務者の財産に執行すべき」と主張できます(検索の抗弁権)。しかし、連帯保証では、連帯保証人に検索の抗弁権はありません。
 したがって、連帯保証人は、借主には弁済する資力があり、かつその執行が容易である旨を証明したとしても、保証債務の履行を免れません。

※ テキスト+問題集P264「B連帯保証」参照。
※ 賃貸借契約の保証において、「主たる債務者」となるのは借主です。

イ:○(正しい)
 賃料債権を被担保債権とする抵当権が不動産に設定されていた場合、抵当権設定者(不動産所有者)の負う責任はその不動産の範囲に限られます。
 一方、保証人の負う責任は、保証人の全財産に及びます

※ テキスト+問題集P262の冒頭部分を参照。

ウ:○(正しい)
 「個人」が賃貸借契約の保証人となる場合、個人根保証契約に該当し、極度額を書面(又は電磁的記録)で定めなければ保証契約は無効となります。
 一方、「法人」の場合は、極度額を書面で定めなくてもかまいません。

※ テキスト+問題集P262の1つ目の※印を参照。
※ なお、問題文にある「自然人」とは、個人のことをいいます。

エ:×(誤り)
 賃貸物件の譲渡などによって「貸主」の地位が移転し、主たる債務(債権者である貸主からみれば保証の付いた債権)が新貸主に移転すると、それに伴って保証債務も移転します。これを「(保証の)随伴性」といいます。
 したがって、保証の随伴性とは、借主の地位が移転した場合に保証人が引き続き保証債務を負担することをいうものではないため、本肢は誤りです。
 

※ テキスト+問題集P263「(2)随伴性」参照。


正解  4


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