Aを貸主、Bを借主とする賃貸住宅(以下、「甲建物」という。)の所有権がCに移転した場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実はないものとする。 1 Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けていれば、賃貸人たる地位はCに移転する。 2 Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けている場合に、AC間で賃貸人の地位をAに留保し、かつCがAに甲建物を賃貸する旨の合意をすれば、Bの承諾がなくても、賃貸人の地位はAに留保される。 3 Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けている場合に、所有権移転登記を経由していないCから甲建物の賃料の支払を求められても、Bは支払を拒むことができる。 4 Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けておらず、かつ賃貸借の登記も経由していない場合に、AC間で賃貸人の地位を移転することにつき合意しても、Bの承諾がなければ、賃貸人の地位はCに移転しない。 |
1:○(正しい) 貸主が賃貸不動産を譲渡する前に、借主が貸主から引渡しを受けていれば、賃貸人たる地位は新所有者に移転します。 ※ テキスト+問題集P208「(1)借主が先に建物の引渡しを受けた」参照。 |
2:○(正しい) 貸主が建物を譲渡する前に借主が貸主から引渡しを受けている場合であっても、不動産の譲渡人(貸主)及び譲受人が、「賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨」及び「その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨」の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しません。貸主に留保されます。 ※ テキスト+問題集P208の下から2行目以降を参照。 |
3:○(正しい) 新所有者が借主に対して、賃料の支払いを求めるなど貸主の地位を主張するためには所有権移転登記が必要です。所有権移転登記を経由していない新所有者から賃料の支払を求められても、借主は支払を拒むことができます。 ※ テキスト+問題集P209の7行目「なお、」以降を参照。 |
4:×(誤り) 不動産の譲渡人が貸主であるときは、その賃貸人たる地位は、借主の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます。 したがって、AC間で賃貸人の地位を移転することにつき合意した場合、Bの承諾がなくても、賃貸人の地位はCに移転します。 ※ テキスト+問題集P209「(2)先に所有権移転登記がなされた場合」の「もっとも、」以降を参照。 |