特定賃貸借標準契約書(国土交通省不動産・建設経済局令和3年4月23日更新。以下、各問において同じ。)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、特約はないものとする。 1 特定賃貸借標準契約書では、賃貸住宅内の修繕を借主が実施するとしている場合には、転貸借契約終了時の賃貸住宅内の修繕は、貸主と協議をすることなく借主がその内容及び方法を決定することができるとされている。 2 特定賃貸借標準契約書では、転貸借契約を定期建物賃貸借にするか否かは、借主と転借人との間の合意により自由に決定することができるとされている。 3 特定賃貸借標準契約書では、転借人が賃貸借の目的物を反社会的勢力の事務所に供していた場合には、借主は、催告をすることなく、転貸借契約を解除することができるとされている。 4 特定賃貸借標準契約書では、転貸借契約から生じる転借料と転借人から交付された敷金は、借主の固有の財産及び他の貸主の財産と分別したうえで、まとめて管理することができるとされている。 |
1:×(不適切) 特定賃貸借標準契約書では、「借主が契約書に定められている修繕を行うに際しては、その内容及び方法についてあらかじめ貸主と協議して行う」ものとされています。 本肢は、「貸主と協議をすることなく」となっている部分が誤りです。 ※ テキスト+問題集P146・147「特定賃貸借標準契約書」第11条第9項参照。 |
2:×(不適切) 特定賃貸借標準契約書では、「貸主は、契約書に記載する転貸の条件に従い借主が賃貸物件を転貸することを承諾する」とされています。したがって、貸主と借主の間で定めた転貸の条件に従わなければならず、転貸借契約を定期建物賃貸借にするか否かを、借主と転借人との間の合意により自由に決定することはできません。 ※ テキスト+問題集P144「特定賃貸借標準契約書」第9条第1項参照。 |
3:○(適切) 特定賃貸借標準契約書では、転借人が賃貸借の目的物を反社会的勢力の事務所に供していた場合には、借主は、催告をすることなく、転貸借契約を解除することができるとされています。 ※ テキスト+問題集P145「特定賃貸借標準契約書」第9条第2項第3号イ、第5号参照。 |
4:×(不適切) 特定賃貸借標準契約書では、「借主は、転貸借契約から生じる転借人の債務の担保として転借人から交付された敷金について、契約書に記載するとおり、整然と管理する方法により、『自己の固有財産』及び『他の賃貸人の財産』と分別して管理しなければならない」とされています。 したがって、分別管理が必要なのは「転借人から交付された敷金」であって、「転貸借契約から生じる転借料」については、分別は求められていません。また、「転貸借契約から生じる転借料(←自己の固有財産)」と「転借人から交付された敷金」を、まとめて管理することはできません。 なお、特定賃貸借標準契約書において、「自己の固有財産」とは、特定転貸事業者(借主)が転貸人として入居者(転借人)から受領する家賃等(つまりは、転借料等)をいいます。また、「他の賃貸人の財産」とは、当該特定転貸事業者(借主)が賃主に支払う家賃等をいいます。入居者(転借人)から受領する敷金は、特定賃貸借契約が終了した場合に、貸主が敷金返還債務を承継するため、入居者(転借人)から受領する敷金の額については、明確にこれらと区分して管理することとしています。 ※ テキスト+問題集P145「特定賃貸借標準契約書」第9条第3項参照。 |