土地工作物責任に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。 ア 建物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、一次的には所有者が土地工作物責任を負い、所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、占有者が土地工作物責任を負う。 イ 建物の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、占有者として土地工作物責任を負うことがある。 ウ 建物に建築基準法違反があることによって他人に損害を生じたときは、建設業者が損害賠償責任を負うのであって、建物の所有者及び占有者は土地工作物責任を負わない。 エ 設置の瑕疵とは、設置当初から欠陥がある場合をいい、保存の瑕疵とは、設置当初は欠陥がなかったが、設置後の維持管理の過程において欠陥が生じた場合をいう。 1 ア、ウ 2 イ、ウ 3 イ、エ 4 ア、エ |
ア:×(不適切) 建物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、一次的には「占有者」が土地工作物責任を負い、「占有者」が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、「所有者」が土地工作物責任を負う。 本肢は、占有者と所有者が逆になっているため、誤りです。 ※ テキスト+問題集P294「土地工作物責任の概要」、P295「B工作物責任の主体」参照。 |
イ:○(適切) 土地の工作物責任では、瑕疵を補修して損害を防止する立場にあった人が「占有者」です。建物の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、「占有者」として土地工作物責任を負うことがあります。 ※ テキスト+問題集P295「B工作物責任の主体」参照。 |
ウ:×(不適切) 損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者または所有者は、その者に対して求償権を行使することができます。したがって、建物に建築基準法違反があることによって他人に損害を生じた場合、建物の所有者及び占有者は、建設業者に対して求償権を行使することはできます。もっとも、この場合であっても、被害者に対する土地工作物責任を免れるわけではありません。 ※ テキスト+問題集P295「C他に責任を負う者がある場合」参照。 |
エ:○(適切) 「設置の瑕疵」とは、設置当初から欠陥がある場合をいいます。一方、「保存の瑕疵」とは、設置当初は欠陥がなかったが、設置後の維持管理の過程において欠陥が生じた場合をいいます。 ※ テキスト+問題集P294「A工作物の設置・保存の瑕疵」参照。 |