賃貸借契約の更新拒絶に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1 貸主は、自ら建物の使用を必要とする事情が一切なくとも、立退料さえ支払えば、正当事由があるものとして、更新拒絶することができる。 2 更新拒絶の通知時点では正当事由が存在しなくとも、通知後に事情が変わり正当事由が具備され、正当事由が具備された状態が事情変更時点から6ヵ月間持続した場合、解約の効果が生じる。 3 建物の老朽化が著しく、隣家に損傷を及ぼしている場合、貸主は当面自己使用の必要性がなくても、立退料を提供することなく更新拒絶することができる。 4 建物にはあたらない駐車場施設の利用契約について貸主が更新拒絶するためには、貸主に施設の使用を必要とする事情のほか、立退料の支払により正当事由が認められなければならない。 |
1:×(不適切である) 貸主から更新拒絶を行う場合には、正当事由が必要です。正当事由の有無は、@貸主・借主(転借人を含む。)が建物の使用を必要とする事情、A賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況および建物の現況、B立退料の支払いの三つの事情を総合考慮して判断します。 借主に立退料を支払った(上記Bに該当)からといって、必ずしも正当事由が認められるわけではありません。 ※ テキスト+問題集P195「(3)更新拒絶の通知」を参照。 ※ なお、正当事由の有無の判断について判例は、傾向として上記@「建物の使用の必要性」を重視しています。 |
2:○(適切である) 本肢の通りです。 ※ テキスト+問題集P195の下から6行目以降参照。 |
3:×(不適切である) 選択肢1での解説の通り、正当事由の有無は三つの事情を総合考慮します。 建物の老朽化が著しく隣家に損傷を及ぼしている(上記Aに該当)からといって、必ずしも正当事由が認められるわけではありません。 ※ テキスト+問題集P195「(3)更新拒絶の通知」を参照。 |
4:×(不適切である) 建物にはあたらない駐車場施設の利用契約については、借地借家法は適用されず、正当事由は不要です。 ※ テキスト+問題集P195の下から3行目以降参照。 |