賃貸借契約の解除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1 借主が貸主に賃料を支払わなかったために、賃料保証会社が貸主に未払賃料全額を支払った場合には、その時点で賃料の滞納がない以上、貸主は賃貸借契約を解除することはできない。 2 貸主が、6ヵ月分の賃料として60万円を滞納している借主に対し「滞納賃料60万円を本通知書到達後7日以内にお支払い下さい。万一支払がないときは、契約解除をいたしますことを申し添えます。」という通知をした場合、通知書が到達してから7日以内に支払がなかったときは、あらためて解除通知することなく、賃貸借契約は解除により終了する。 3 賃貸借契約が解除されると、契約当初から賃貸借契約が存在しなかったことになる。 4 債務不履行に基づき賃貸借契約を解除するためには、原則として解除権行使に先立ち、催告をしなければならないが、信頼関係が破壊されたと明らかに認められる場合には、催告しないで解除することができる例外が認められる。 |
1:×(不適切である) 借主が貸主に賃料を支払わなかった時点で、借主は債務不履行(賃料を支払うという債務を履行しなかったこと)となります。このことは、賃料保証会社が、借主に代わって、貸主に対して未払賃料全額を支払った場合でも同じです。 貸主は債務不履行となり、信頼関係が破壊されるような状況にあれば、賃貸借契約を解除することができます。 ※ テキスト+問題集P253「C保証会社による賃料支払いと債務不履行との関係」参照。 |
2:×(不適切である) 「滞納賃料60万円を本通知書到達後7日以内にお支払い下さい。万一支払がないときは、契約解除をいたしますことを申し添えます。」という通知は、単なる催告であって、解除の意思表示を含んでいません。そのため、あらためて解除通知をしなければ、契約を解除したことになりません。 ※ テキスト+問題集P202「(4)解除の意思表示を含まない催告」参照。 ※ テキスト+問題集P202「(5)解除の意思表示を含んだ催告」との違いに注意してください。 |
3:×(不適切である) 賃貸借契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じるとされています。契約当初から賃貸借契約が存在しなかったことになるわけではありません。 ※ テキスト+問題集P203「C解除の効果」参照。 |
4:○(適切である) 債務不履行に基づき賃貸借契約を解除するためには、原則として解除権行使に先立ち、催告が必要です。ただし、信頼関係が破壊されたと「明らかに」認められる場合には、無催告で解除することができます。 ※ テキスト+問題集P201・202「(2)解除における催告の要否」参照。 特にP202の2行目〜4行目を参照。 |