借地借家法第32条の賃料増減額請求に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1 借主が賃料減額請求に関する事件について訴えを提起しようとする場合、それに先立って調停の申立てをすることができるが、調停の申立てをせずに訴えを提起することも認められている。 2 借主から賃料減額請求を受けた貸主は、裁判が確定するまでは、減額された賃料の支払のみを請求することができるが、裁判が確定した場合において、既に受領した賃料額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による 支払期後の利息を付してこれを請求することができる。 3 普通建物賃貸借契約において、一定期間、賃料を減額しない旨の特約がある場合であっても、借主は、当該期間中、賃料の減額を請求することができる。 4 借主が契約期間中に賃料減額請求をする場合には、契約開始時に遡って賃料の減額を請求することができる。 |
1:×(不適切である) 賃料増減額請求に関する事件について訴えを提起しようとする場合、まずは調停の申し立てをしなければならず、調停の申立てをせずに訴えを提起することは認められていません(調停前置主義)。 ※ テキスト+問題集P255「(3)賃料増減請求の流れ」参照。 |
2:×(不適切である) 借主から賃料「減額」請求を受けた貸主は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の賃料の支払いを請求することができます。 本肢は、「減額された賃料」の支払いのみ請求できるとしている点が、不適切です。 なお、減額を正当とする裁判が確定した場合において、すでに支払いを受けた額が正当とされた建物の賃料の額を超えるときは、貸主は、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければなりません。 ※ テキスト+問題集P254「(2)賃料増減額請求と裁判確定後」参照。 |
3:○(適切である) 普通建物賃貸借契約において、賃料を減額しない旨の特約は、無効です。そのような特約があっても、借主は、賃料の減額を請求することができます。 ※ テキスト+問題集P256「(2)賃料を減額しない旨の特約」参照。 ※ テキスト+問題集P256「(1)賃料を増額しない旨の特約」や「(4)定期建物賃貸借契約」などとの違いに注意してください。 |
4:×(不適切である) 建物の賃料が不相当となったときは、契当事者は、将来に向かって賃料額の増減を請求することができるとされています。借主は、将来に向かって賃料の減額を請求できるのであって、契約開始時に遡って賃料の減額を請求することはできません。 ※ テキスト+問題集P254「(1)賃料増減請求権」参照。 |