賃貸不動産の所有権移転と賃貸借契約上の地位の移転に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1 貸主が、自己の所有建物を借主に賃貸して引き渡した後、第三者に当該建物を売却し、所有権移転登記を完了した場合には、特段の事情がない限り、貸主の地位もこれに伴って第三者に移転し、敷金に関する権利義務も第三者に承継される。 2 建物について抵当権が設定され、その登記がされた後に、賃貸借契約が締結された場合、当該抵当権が実行され、買受人に当該建物の所有権が移転したときは、貸主の地位は当然に買受人に移転する。 3 建物について抵当権設定登記がされる前に賃貸借契約が締結され、借主が当該建物の引渡しを受けた場合、その後に設定された抵当権が実行され、買受人に当該建物の所有権が移転したときは、借主は建物を明け渡さなければならないが、買受けから6ヵ月間は明渡しを猶予される。 4 担保権の登記がされていない建物について賃貸借契約が締結され、借主が当該建物の引渡しを受けた後に、当該建物が貸主の債権者によって差し押えられ、競売された場合には、借主は建物を直ちに明け渡さなければならない。 |
1:○(適切である) 売却による所有権移転の「登記前」に賃貸不動産の引渡しがなされている場合、貸主の地位は買主(第三者)に移転し、敷金に関する権利義務も買主(第三者)に承継されます。 ※ テキスト+問題集P208「(1)借主が先に建物の引渡しを受けた場合」参照。 |
2:×(不適切である) 抵当権設定の「登記後」に賃貸借契約が締結された場合、借主は買受人に対抗できず、貸主の地位は買受人には移転しません。 ※ テキスト+問題集P210「(2)先に抵当権設定登記がなされた場合」参照。 ※ 「借主が買受人に対抗することができるか」「貸主の地位が買受人に移転するか」は、抵当権設定の登記と賃貸不動産の引渡しのどちらが先かによって判断します。 |
3:×(不適切である) 抵当権設定の「登記前」に賃貸不動産の引渡しがなされている場合、借主は買受人に対抗することができ、貸主の地位は買受人に移転します。そのため、借主は買受人に建物を明け渡す必要はありません。 ※ テキスト+問題集P209「(1)借主が先に建物の引渡しを受けた場合」参照。 |
4:×(不適切である) 「差押え前」に賃貸不動産の引渡しがなされている場合、借主は買受人に対抗することができ、貸主の地位は買受人に移転します。そのため、借主は建物を明け渡す必要はありません。 ※ テキスト+問題集P210「(1)借主が先に建物の引渡しを受けた場合」参照。 |