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賃貸不動産経営管理士試験の傾向と対策、過去問解説 

平成27年度賃貸不動産経営管理士試験問題

問9


※ 本問は、賃貸住宅管理業法の施行前に実施された試験の問題です。法施行前までは、管理受託契約は「委任」又は「準委任」の性質を有するとされてきましたが、賃貸住宅管理業法の制定により、管理受託契約は「請負」の性質も有する場合もあるとされています。
※ 本問は、管理受託契約が「委任契約」の性質を有するものとして出題されています。そのため、委任契約に関する問題として解きましょう。管理受託契約が「委任契約」、管理業者が「受任者」、委託者が「委任者」となります。


 管理受託契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 管理業者の共用部分に対する管理懈怠により、賃貸物件を訪問した第三者が共用廊下において転倒して怪我をした場合、管理業者はこの第三者に対して、管理受託契約の違反に基づく損害賠償義務を負う。

2 管理業者が破産手続開始の決定を受けた場合、管理受託契約は終了する。

3 委託者が後見開始の審判を受けた場合、管理受託契約は終了する。

4 管理受託契約において、管理業者の負う善管注意義務を加重する旨の特約は無効である。

問9解説


「管理業務の受託(管理受託方式)」に関する問題です。
テキスト+問題集の170、P175、P169参照)


 1:×(誤っている)
 契約当事者間では「契約違反」に基づく損害賠償義務を負うことがありますが、契約当事者ではない第三者に対しては、「契約違反」に基づく損害賠償義務を負うことはありません
 なお、第三者に対しては、「不法行為」に基づく損害賠償義務を負うことはあります。

※ 債務不履行(契約違反)と不法行為の違いについては、テキスト+問題集P170「A債務不履行・不法行為」参照。

 2:○(正しい)
 受任者が破産手続開始の決定を受けた場合、管理受託契約は終了します。

※ テキスト+問題集P175の表「▼委任契約の終了事由」参照。

 3:×(誤っている)
 委任者が後見開始の審判を受けた場合であっても、管理受託契約は終了しません

※ テキスト+問題集P175の表「▼管理受託契約の終了事由」参照。

 4:×(誤っている)
 受任者の負う善管注意義務を加重する旨の特約は有効です。

※ テキスト+問題集P169「(3)特約」参照。
※ 善管注意義務については、テキスト+問題集P173「(1)善管注意義務」参照。


正解  2